読めば貴方もコイン博士③ 誰も知らないスラブの秘密の②

 

誰も知らないスラブの秘密の②

 

さて前回はアメリカに誕生したコイン販売の利益関係の全く無い第三者鑑定機関の双璧NGC社とPCGS社の果たした役目をご紹介しました。
 
「神としてのコイン商の声」に代わり「革命家」として「暗黒の封建時代」に別れを告げ「民主主義」の時代の幕開けに果たした両社の役割は余りにも大きかったんです!
でもこの民主主義に強く抵抗する封建地主としてのコインビジネスを取り巻く旧勢力(コイン商とその関係者)との戦いは今でも絶える事は有りません。
しかしながら、コインを見る目が養われていない新しいコイン収集家とコイン投資家に取っては第三社機関が鑑定したコインは大きな安心感となり、その一貫性と信頼性により今やコイン投資最大のインフラとして認知されるに至っているという話でした。
 
さて、今回はこの理解をもう少し発展させて「鑑定スラブには何が書かれているのか?」「それに依って何が解るのか?」を以下に纏めて見ましたのでご覧下さいませ。
 
鑑定スラブには何が書かれているのでしょうか?
下の鑑定の実際を見て行きましょう。 (左:PCGS社の例  右:NGC社の例)
このコインは神聖ローマ帝国の希少金貨群を発行したドイツ レーゲンスブルグ のダカット金貨です(左:1/2 Ducat  右:1 Ducat 金貨)
 
まずはPCGS社の鑑定スラブには何が記載されているのでしょうか?
左:最初にND(1745~1765)-RBと有ります。発行年号がコインに記載の無いタイプ(No Date=無年号)を示すのが ND ,カッコの中は発行年号の幅を記載していますからこのコインの場合は1745年から1765年の間の発行だと言うことが解ります。ミントマークはRBで額面は1/2ダカット金貨という事も解りますね。
そして、この鑑定で一番重要なコインの等級グレードが “ PCGS “の後にMS-65 と鑑定されています。これはこの年代の金貨として相当に高い未使用品の高位グレード品だと言うことも解ります。
コインの発行地がRegensburgと記載が有るのでレーゲンスブルグの金貨と解ります。
 
次に、右側のNGC社の鑑定を見て行きましょう。
こちらも年号無記載のタイプの金貨ですからその発行年代を(1792~1803年)として “GERMANY DUCAT “としているのでドイツの1ダカット金貨と解ります。
その下の段には “ REGENSBURG”  FR-2571番としていますからレーゲンスブルグ発行ですね、その次のFR-2571は金貨の標準カタログFriedberg の2571番にリストされているコインだという事が解るように成っています。
カタログ番号を示してコインの出典を明らかにして利便性を高めています(有名カタログはアルファベット2~3文字で記載されます。KMと有ればそれはKMカタログDAVと有ればダベンポートカタログなど、、、)
次にMS-65と鑑定されていますからこの時代の金貨として恐らく相当に高い鑑定数字だろうという事が予測出来ます。
なお、近代シェルドンスケール70段階は最低評価が1で最高評価が70と言うコイングレードスケールです。
しかしながら100年を超える古いアンティークコインには通常MS-68以上の鑑定品は有りません。
基本的にMS-68,MS-69,MS-70などのスケールは現代コインに割当られる数字で、アンティークコイン用のグレード数字では無いと言うことをご記憶下さいませ。
次にこのコインが何枚鑑定されているかを調べる方法をNGC社の例をあげてご案内します。

 

<Verifyの検索方法>

NGC社のサイトに入り 「Verify 」を選択すると下の画面が出て来ます。
鑑定スラブの10桁の数字を下記の升の中に打ち込みエンターキーを叩くと次の画面に切り替わります。
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下の画面が切り替わった画面です。
NGC社の鑑定番号が大きく表示されています。
鑑定スラブ画像の右側に NGC Census : 1が見えます。
これはMS-65が鑑定されたこのコインは「1品」しか無い事を示しています。
他に鑑定枚数が何品有るか?を調べるには現在会員登録が必要です(会員登録は数千円程から出来ます。詳しくはNGCサイトの案内に従って下さい)
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● NGC社の登録が済むとだれでも以下の鑑定枚数の総覧が出来ます。
このコインで言えば鑑定総数(本当は鑑定回数!)は4品又は鑑定回数が4回という事です!
その鑑定回数4回の中に有って本品MS-65はたった一枚しか無い最高グレードの鑑定品コインと言う事も解りました!
日本のアメリカコイン販売サイトで悪質なサイトではコインの「残存枚数」とわざと嘘の情報を拡散して販売品コインの希少度を高める誘導をしていますが世界に点在するコインの残存数を確かめる方法が無いのに、何故「コインの残存枚数」と言うのか?は高い常識が有れば解るはずです!
ここで解る事はコインの残存枚数では有りません!
ここで解るのはNGC社が過去何回このタイプのコインを鑑定したか?という鑑定回数です。
鑑定枚数でも有りません!
何故ならコイングレードが一段階上がれば価格が大きく値上がりするのですから、一度鑑定済みのコインを何度も鑑定に送る場合が多数有るのです!
パンダアメリアの社長は同じコインを「9回もグレード鑑定に送り」ついには「鑑定数字を一段階引き上げる」のに成功したと自慢気に語っているほどです!
従い、最低でも鑑定回数程のコインは無い可能性も有ると言うことをご記憶下さいませ。

<打率表の見方>

この鑑定枚数と信じられている実は鑑定回数のデータは通称野球の打率表になぞらえて「打率表」と呼びます。
 
打率表はコインの希少性を検討する上で最も実態に即した公開データです。
打率表を見る習慣を持てばコインの希少性をご自分で検討する事が可能に成ります!
他人が意図的に流す情報では危険な場合が有りますので、ご自分の眼で打率表を検討して頂きたいと助言致します。
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この打率表には鑑定数(回数)が全部で4回でMS-65が最高グレード品でそれは一品しかない事が解ります。
◉ 近代シェルドンスケール70段階グレード トップグレードは70です!
実際のコインの品質(グレード)分布もピラミッド同様に上級品は少なく、下級品ほど多い。
未使用コインはMS-60からMS-70の間です
◉未使用コインと言ってもコインを運搬する麻袋の中でコインは相互に傷が付くので未使用コインが全てMS-70とは成りません!麻袋の中で付く傷をバックマーク(袋ズレ)と呼びます。それ故に未使用コインはMS-60からMS-70とやや幅が有ります。
バックマークは流通の過程でコインに付いた流通痕跡とは意味が異なります。

◉アメリカはコイングレーディングを「シェルドンスケール70段階で表示」していますが、英国や台湾、香港等の鑑定会社は「100段階方式」を採用していますので、これらの会社の「MS-70はシェルドンのMS-70では有りません」のでご注意下さいませ〜〜〜〜

◉次回は誰も知らない「鑑定スラブの秘密の③」を開校しますのでご期待下さいませ〜〜〜〜